ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発 研究開発拠点整備事業(課題A)
具体的なミッション
ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は、脳内情報処理の解明と相乗的に 展開されることで、脳を介した新たなコミュニケーションを可能とする技術であり、 その実現のためには、脳情報双方向活用技術の発展が不可欠です。脳情報双方向活用技術の発展には、脳の情報表現や動的機能及び学習の原理等を 基礎に据え、脳活動計測、低侵襲で長期安定型のマルチ電極の開発、多次元脳信号処理技術の 開発のみならず、計測データの整理保存や高速利用等の高次脳情報処理技術を 支えるニューロインフォマティクスの基盤整備が必要です。
このため、中核となる代表機関と参画機関で構成された研究開発拠点を形成し、 システム神経科学や計算論的神経科学に立脚しつつ、様々な要素技術を用いた以下の 研究項目等を組み合わせて、脳情報双方向活用技術や、脳内情報を解読・制御することにより、 脳機能を理解するとともに脳機能や身体機能の回復・補完を可能とする ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発を推進します。
Ⅰ 運動出力型BMI:侵襲式、非侵襲式
・非侵襲脳内信号による意思伝達装置の開発・低侵襲脳信号を用いた義手、義足等の制御及び意思伝達に関する研究開発
・運動やコミュニケーションの再建及びリハビリテーションの実現に向けた研究
Ⅱ 感覚入力型BMI:人工内耳、人工視覚、人工触圧覚等
・人工感覚器と脳を結合する技術開発・外部感覚情報を脳へフィードバックする技術や神経細胞の活動へ変換する技術
Ⅲ 直接操作型BMI:脳深部刺激、脳表面の刺激、非侵襲的な刺激
Ⅳ BMI要素技術の開発
・BMIに必要となる要素技術の開発(長期留置電極技術、刺激電極技術、ヒトへの前臨床応用技術等)・BMIのための高度な義手、義足等の開発
・人工感覚器装置等の開発
Ⅴ 脳内情報の解読にかかわる技術
・認知過程並びに運動遂行過程における脳内情報を解読する技術・大脳皮質の階層・モジュール的モデルを用いた脳信号処理に資する研究
・脳型学習アルゴリズムとその脳情報双方向活用技術への応用に関する研究
・脳内信号処理(多次元時空間神経活動の抽出・推定等)にかかわる信号処理技術
・複数手法を統合した脳活動データベース開発
Ⅵ 双方向信号制御技術
・非侵襲信号による情報通信インターフェースに関する研究開発・脳情報双方向活用技術に必要な神経回路モデルや計算論モデルの構築
・外部機器や身体補助具等を制御する技術及びその制御信号を生成する技術
なお、本課題については、社会への影響が大きいことも予想されることから、倫理的側面など 社会との調和に配慮しつつ研究を推進していくこととします。
また、ヒトを対象とする研究については、世界医師会「ヘルシンキ宣言」(ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則)や関係指針等に加え、機関内規程や学会の指針等を遵守して行うとともに、動物を対象とする研究については、動物愛護の精神に則り、関係法令・指針等や機関内規程等を遵守して行うこととします。
さらに、研究開発拠点の代表機関においては、研究成果を積極的に社会に発信する活動を 実施することとします。
拠点長
(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報研究所 所長・ATRフェロー
科学技術振興機構 さきがけ「脳情報の解読と制御」 領域総括
川人 光男
「低侵襲型及び非侵襲型BMIのための脳活動推定、脳情報解読、階層運動制御アルゴリズムの研究、及び統合データベースプラットフォームの構築」
課題A「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」では、感覚運動統合に関する脳機能の計算論的理解にもとづき、脳内情報を低侵襲もしくは非侵襲的に解読し、身体機能の治療、回復、補綴、補完を可能とするBMIを開発することで、臨床応用に資することを最終目標とし、中核拠点であるATRを中心に、5つの参画機関である大阪大学、東京大学、慶應義塾大学、島津製作所、自然科学研究機構が緊密かつ複合的に連携しつつ多角的に研究を遂行しています。 具体的な研究目標は、(1)皮質脳波(ECoG)によるBMIの開発と臨床実験、(2) 非侵襲型BMIを活用したリハビリテーション手技・機器の開発と臨床実験、(3) NIRS-EEGの組み合わせによる高精度脳活動計測装置の開発、(4)サルを用いた柔軟多機能マルチ電極開発と、各種計測法による脳活動・行動・認知情報の同時記録統合データベース構築を4つです。さらに、パワースーツやロボットのBMIによる制御のための階層運動制御計算モデル、BMIのための脳内情報解読、BMI技術を利用した革新的な実験パラダイムの創出を主要研究課題としています。
また、本研究の社会的影響の大きさに鑑み、脳神経倫理学の研究を推進し、社会への情報発信と調和を目指して公開シンポジウムを開催することを目標の一つとし、統合データベースにおいては、本プロジェクトで計測したデータを広い範囲に公開し、日本のBMI研究の底上げに貢献することを視野に入れています。 これらの研究課題うちいくつかは、さきがけ「脳情報の解読と制御」と関連するものがあり、同領域の研究成果や技術を本プログラムの社会還元に応用する共同研究や共同作業を強く推奨しています。
課題A「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の開発」では、感覚運動統合に関する脳機能の計算論的理解にもとづき、脳内情報を低侵襲もしくは非侵襲的に解読し、身体機能の治療、回復、補綴、補完を可能とするBMIを開発することで、臨床応用に資することを最終目標とし、中核拠点であるATRを中心に、5つの参画機関である大阪大学、東京大学、慶應義塾大学、島津製作所、自然科学研究機構が緊密かつ複合的に連携しつつ多角的に研究を遂行しています。 具体的な研究目標は、(1)皮質脳波(ECoG)によるBMIの開発と臨床実験、(2) 非侵襲型BMIを活用したリハビリテーション手技・機器の開発と臨床実験、(3) NIRS-EEGの組み合わせによる高精度脳活動計測装置の開発、(4)サルを用いた柔軟多機能マルチ電極開発と、各種計測法による脳活動・行動・認知情報の同時記録統合データベース構築を4つです。さらに、パワースーツやロボットのBMIによる制御のための階層運動制御計算モデル、BMIのための脳内情報解読、BMI技術を利用した革新的な実験パラダイムの創出を主要研究課題としています。
また、本研究の社会的影響の大きさに鑑み、脳神経倫理学の研究を推進し、社会への情報発信と調和を目指して公開シンポジウムを開催することを目標の一つとし、統合データベースにおいては、本プロジェクトで計測したデータを広い範囲に公開し、日本のBMI研究の底上げに貢献することを視野に入れています。 これらの研究課題うちいくつかは、さきがけ「脳情報の解読と制御」と関連するものがあり、同領域の研究成果や技術を本プログラムの社会還元に応用する共同研究や共同作業を強く推奨しています。
参画機関
慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室 教授
里宇 明元
「ブレイン・マシン・インターフェースの臨床応用を目指した医工連携プロジェクト-「機能代償システム」から「治療システム」へ-」
緊密な医工連携により、非侵襲型BMIを臨床例で実証する中核を担います。まず、われわれが開発したEEG-BMIにつき、想定受益者である脊髄損傷、神経難病、脳卒中などの疾患群で実証実験を行い、その適応を明らかにするとともに、信頼性のある脳波をデータベース化します。さらに、臨床的観点から疾患・重症度ごとにBMI仕様と要求を吟味し、より自由度の高いBMIを志向したNIRS-EEG-BMIの開発に資します。加えて、BMIの継続使用による中枢神経機能再構築の可能性を検証します。
緊密な医工連携により、非侵襲型BMIを臨床例で実証する中核を担います。まず、われわれが開発したEEG-BMIにつき、想定受益者である脊髄損傷、神経難病、脳卒中などの疾患群で実証実験を行い、その適応を明らかにするとともに、信頼性のある脳波をデータベース化します。さらに、臨床的観点から疾患・重症度ごとにBMI仕様と要求を吟味し、より自由度の高いBMIを志向したNIRS-EEG-BMIの開発に資します。加えて、BMIの継続使用による中枢神経機能再構築の可能性を検証します。
「動物実験による、ブレイン・マシーン・インターフェースの開発に向けた人工知覚・中枢神経刺激法の開発とBMI用統合データベースの構築」
現在、BMIのため、脳から信号を記録する方法として、(1)脳内に多数の電極を刺入し神経細胞から記録する方法と、(2)頭蓋上から脳波や近赤外光により脳活動を記録する方法があります。(1)は、十分な空間解像度をもち多関節の義肢などの細かな運動を制御するのに十分な情報量を得られるが、侵襲的です。一方、(2)は非侵襲的であるが、現在のところ細かな制御をするほどの情報量が引き出す方法がないなど、それぞれ欠点があります。脳波などの情報から、それぞれの神経細胞の活動を推定できれば、非侵襲的方法によっても、十分な精度でのBMIが可能となります。その推定アルゴリズムを確立するため、霊長類に様々な行動課題をさせ、その際の多数の神経細胞の活動電位、局所フィールド電位、皮質脳波、フラビン計測などを用いた2次元活動画像などを同時記録し、それらの相互関係を調べます。また、他の研究チームによる解析に供するため、記録した情報をもとにデータベースを構築し公開します。
現在、BMIのため、脳から信号を記録する方法として、(1)脳内に多数の電極を刺入し神経細胞から記録する方法と、(2)頭蓋上から脳波や近赤外光により脳活動を記録する方法があります。(1)は、十分な空間解像度をもち多関節の義肢などの細かな運動を制御するのに十分な情報量を得られるが、侵襲的です。一方、(2)は非侵襲的であるが、現在のところ細かな制御をするほどの情報量が引き出す方法がないなど、それぞれ欠点があります。脳波などの情報から、それぞれの神経細胞の活動を推定できれば、非侵襲的方法によっても、十分な精度でのBMIが可能となります。その推定アルゴリズムを確立するため、霊長類に様々な行動課題をさせ、その際の多数の神経細胞の活動電位、局所フィールド電位、皮質脳波、フラビン計測などを用いた2次元活動画像などを同時記録し、それらの相互関係を調べます。また、他の研究チームによる解析に供するため、記録した情報をもとにデータベースを構築し公開します。
「BMIのための非侵襲脳活動計測装置NIRS-EEGシステムの開発」
MRlとMEGを対象としてATRが開発した階層ベイズ推定法など逆問題推定アルゴリズムによる脳活動・脳情報抽出システムをさらに発展させ、NIRS-EEG同時計測に適用します。島津製作所が非侵襲脳活動計測装置NIRS-EEGシステムのハードウエア開発を担当します。
中間評価までに、可搬型のNIRS-EEG複合脳活動計測システムを完成させ、終了時点では、携帯が可能なように専用の集積回路や低消費送受光システムを開発し、軽量小型で完全にワイヤレスの非侵襲非拘束BMI用携帯型脳活動計測・脳情報抽出システム開発を完成します。
MRlとMEGを対象としてATRが開発した階層ベイズ推定法など逆問題推定アルゴリズムによる脳活動・脳情報抽出システムをさらに発展させ、NIRS-EEG同時計測に適用します。島津製作所が非侵襲脳活動計測装置NIRS-EEGシステムのハードウエア開発を担当します。
中間評価までに、可搬型のNIRS-EEG複合脳活動計測システムを完成させ、終了時点では、携帯が可能なように専用の集積回路や低消費送受光システムを開発し、軽量小型で完全にワイヤレスの非侵襲非拘束BMI用携帯型脳活動計測・脳情報抽出システム開発を完成します。
東京大学大学院工学系研究科 精密機械工学専攻 認知発達機械研究室 准教授
横井 浩史
「BMIのための入出力系デバイス技術開発と脳神経倫理学的検討」
当研究室は、人を中心にすえた工学の理論体系及びその周辺技術の再構築を目的としており、人と機械の自然なインターフェースやそれらの融合技術に関する探究を行います。特に、低侵襲型BMI開発のために、感覚入力のフィードバックを有する電動装具制御技術の開発を推進し、多自由度の運動意図推定を行う信号処理、表面電気刺激を用いた感覚と運動の補助、手指と上腕の干渉駆動機構の開発に従事します。さらに、人と機械の相互適応の問題に対しては、fMRIとNIRS解析を用いて、電動装具使用時の患者の脳の適応状態の解明とBMI信号処理のための信号処理の方法論を探ります。このような取り組みにより、人の脳が受け入れることのできる機械の構築を目指します。
当研究室は、人を中心にすえた工学の理論体系及びその周辺技術の再構築を目的としており、人と機械の自然なインターフェースやそれらの融合技術に関する探究を行います。特に、低侵襲型BMI開発のために、感覚入力のフィードバックを有する電動装具制御技術の開発を推進し、多自由度の運動意図推定を行う信号処理、表面電気刺激を用いた感覚と運動の補助、手指と上腕の干渉駆動機構の開発に従事します。さらに、人と機械の相互適応の問題に対しては、fMRIとNIRS解析を用いて、電動装具使用時の患者の脳の適応状態の解明とBMI信号処理のための信号処理の方法論を探ります。このような取り組みにより、人の脳が受け入れることのできる機械の構築を目指します。